Published
- 11 min read
コミュニケーション手法の性質と、よくあるミスコミュニケーションについて
1.背景
仕事をしている中で、様々な方と関係することが多くなり、
- 「仕事でよく使うコミュニケーション手法って、どんな性質があったかな?」
- 「職場で、どのようなミスコミュニケーションが生じていたかな?」
と思い、改めて整理してみてみようかと思い立ったので、自分用のメモを共有してみます。
2.主なコミュニケーション手法
仕事上で普段使用しているコミュニケーション手法は、おおまかに以下の内容に区分できるかなと。
手法 | 同期/非同期 | 定期/不定期 | 参加者目安(人) | 所要時間目安(min) | 手法に求める主な効果 |
---|---|---|---|---|---|
対話 | 同期 | 不定期 | 2~5 | 5~60 | 議論,意思決定 |
会議 | 同期 | 不定期 | 2~10 | 30~120 | 議論,意思決定 |
定例 | 同期 | 定期 | 2~n | 15~120 | 情報共有,意思決定 |
電話 | 同期 | 不定期 | 2 | 5~30 | 情報共有 |
チャット | 非同期 | 不定期 | 2~n | 5~30 | 情報共有,議論 |
メール | 非同期 | 不定期 | 2~n | 5~30 | 情報共有,意思決定 |
3.それぞれのPros/Consと意識すべき点
3-1.対話
Pros
- 相手のレスポンスがすぐにわかる
- 自席環境でプログラム実行やウェブブラウジングなどを行いながら議論が可能
- 会議室確保など、事務手続きがない
Cons
- 議論に参加しなかった人が、議論を追いづらい
- 相手と会話を行うので、自分の作業が中断される
意識すべき点
- 議論結果の明文化
- 「先ほどの議論メモです」など、結果をチャットやメールで関係者に共有する
- 対話相手がフロー状態かどうかの確認
- 作業中断時のコンテキストスイッチは、相手の生産性(≒組織の生産性)を落とすことになる
3-2.会議
Pros
- 相手のレスポンスがすぐにわかる
- 会議室のホワイトボードなどで、動的な説明ができる
- 複数拠点のTV会議が可能
- 議事を記録しながらの議論が可能
Cons
- 会議室に向かう移動時間が発生する
- 意思決定フローが不明瞭だと、会議に必要な関係者を招集しづらい
- ファシリテーターやタイムキーパーがいないと、議論が発散しやすい
意識すべき点
- アジェンダ共有
- 「報告」「議論」「連絡」など、会議目的を参加者間で意思統一しておかないと、時間が無限に必要となる
- 議事録作成
- 参加者と欠席者が必要な情報を共有できるようにする。
- なお、参加者であっても翌日には議論内容をほとんど忘れているので、後から確認できるようにしておく方がよい
- 「本当に自分が必要か」を確認する
- 特に、組織成熟度が低い場合、会議に適切な人が呼ばれていないことがあるので、自分が必要か否かの会議内容を確認する
3-3.定例
Pros
- 「3−2.会議」の内容と同様
- 週次や月次など、決まった日時があると予定を立てやすい
Cons
- 「3−2.会議」の内容と同様
- 惰性で続けられる定例が残ることがある
意識すべき点
- 「3−2.会議」の内容と同様
- 定期的に出席者と開催頻度を見直す
- 不定期の会議と定期的な定例の整理は、役職が上がるにつれ、重要度が増していく。
- 時間が取れないからといって、必要なコミュニケーション場所まで排除してしまわないように注意する。
3-4.電話
Pros
- 相手のレスポンスがわかりやすい
- 物理的に距離が離れた相手とリアルタイムで情報共有が行える
- お互いの状況が見えないため、手元で作業を行いながらの会話が可能
Cons
- 電話代がかかる
- 第3者に議論が見えない
- 記録に残らない
意識すべき点
- 相手が電話可能な時間帯を他の手法で確認しておく
- 議論結果の明文化
- 「3−1.対話」と同じく、議論した内容をメールなどで補足する。
- 取引先などとの電話の場合、後から言った言わないの議論になると、収束させるのが大変になる。
3-5.チャット
Pros
- botやリアクションなど、多彩な表現が可能
- 個別メンション、ルームメンションなどを使い分けられる
- 自分のタイミングで議題を追うことが可能
Cons
- 相手のレスポンスを待つので、長時間の議論には使いづらい
- 流量が多い部屋だと、ログが流れやすい
意識すべき点
- 決まったことは、wikiなどでドキュメント化しておくことが必要
- ルームメンションは、慣れてくると放置されてしまうので多用しない
- 自分が入る部屋を絞っておく
- これについては、部屋の乱立を避ける方針もあるし、小規模な話題ごとに部屋を作成して、クローズするという方針もある
3-6.メール
Pros
- 自分のタイミングで確認ができる
- 非エンジニアの人や社内チャットに呼べない取引先の人にも利用可能
Cons
- 相手のレスポンスを待つので、長時間の議論には使いづらい
- 相手が読んだかどうかを確認しづらい
- メールが多いと、情報の振り分けに時間を取られる
意識すべき点
- メールを処理する時間帯を決めておく
- メールフィルターを活用する
- 可能であれば、タイトル名などで判別し、重要なメールはチャットなどで通知させるようなことができるとよい
4.よくあるミスコミュニケーションのケース
4-1.共有が必要な相手に共有されない
発生ケース
A:Bさん、ちょっといいですか?
B:これはああで、こうでそうなるね。
A:ああ、なるほど。そうだったんですね
の当人同士の対話だけで確認が終わり、結果や過程が他のメンバーに情報が伝達されない結果、
「あれ?それいつ決めたの?」と議論が別の人を交えて再発し、手戻りが生じる。
ドキュメントされておらず、属人化している組織で生じやすい。
対策例
- 議論結果をチャットやメールなどで周知する
- 関係者が多い場合は、口頭で済ますだけでなく、議事録を取りながら議論を行う
4-2.非同期コミュニケーション手法での議論勃発
発生ケース
A:あのとき、ああ言いましたよね?
B:いや、あれから新しい要件が出てきて、その実装では....
A:えー、それスケジュール的に厳しいですよ。代替案のプランはいかがです?
B:それだと、費用がうんぬんかんぬん
というような議論がプロジェクト大部屋のチャットで始まると、
他の人が、「(うう、この流れは書き込みづらいな)」
という状態になり、本来カジュアルに書き込める筈のチャットが途端に書き込みづらくなる。
対策例
- 議題内容ごとに部屋を分割する
- n分(回)議論が続くのであれば、対話もしくは会議を行うといったルール決め
4-3.社内でコミュニケーションツールが乱立してしまう
発生ケース
A:チャットで書き込んだ件ですが、、、
B:ああ、そのチャットは今あまり見てないですね
A:(´・ω・`)
新しいサービスが出てきたときによくありがちなケース。
特に、エンジニア職は、こうしたサービスに対しての感度が高いので、カジュアルにツールを入れるような組織だと、こうしたケースが各所で生じる。
対策例
- コミュニケーションツールの強い意思統率者の設置
- 現行/検証/廃止予定のツールを常に社内で共有しておく
5.まとめ
仕事で普段行っているコミュニケーション手法と、よくあるミスコミュニケーションについて、まとめてみました。
昔に比べて、コミュニケーション手法が増えていることから、うまく手法を選択する&絞るということが重要なのかなと感じています。
他にも思いつく内容があれば、加筆修正してみます。